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セルではエンジン掛からずキックで掛かるというビーノ2のトラブルはココが悪い!を教えます
今回入庫したビーノ2(SA10J)だが、放置パック案件である。
3年放置した個体だが、5万円パックでお引き受けした。
まず、ガソリンタンクが腐っていたのでガソリンタンク交換をして、これが金額が跳ね上がった要因だ。
ほぼ、そのガソリンタンク交換代金に費やしてしまったと言って、過言ではない。
ただ、ガソリンタンクをキレイにして、ポンプもしっかり動いているにも関わらず、セルでエンジンが始動しない。
不思議だ。
いや、調子悪いんでしょ?
それが、キックではエンジンがすんなり掛かるわけです。
キックで掛かればイイんでない?と思われるかも知れませんが、プロの仕事はそうは行きません。
まして、乗っているのは女性ユーザーで、ヒールでキックなんか出来ません。
実はこの現象、ビーノのあそこが悪くなっているんです。
やってみよう!
まず、駆動にポイントあるので、クランクケースカバーを外します。
中はキレイなもんです。
ただ、こんなキレイでも、あそこにはゴミが溜まっているわけです。
ピニオンギアを外します。
ピニオンが悪いわけではないので、ギアは取り外して保管しておこう。
ピニオンの右斜め上にあるギアがセルモーターギアだ。
いきなり確信になるが、悪いのはココ。
丸いベビーチョコみたいな形状のパーツがあるが、このベビーチョコの動きが悪いのが原因。
このクランクギアの摺合せ部分もキレイにする。
さらに、この樹脂製の原始的なベアリング。
これもグリスが切れている。
本来、窪んでいる部分にグリスが少し残留しているのが正解。
まったくカラっとしているのは、新車からあまり塗られていないのが原因だ。
ヤマハの組付け設計ミスだ。と、ガッチャは思っている。
つまり、躯体側のココにも、グリスが効いてないと回転が悪くなるわけだ。
まず、キャブクリーナーで掃除。
古いグリスをキレイに落とす。
ピカピカだ。
しっかりグリスアップをする。
あまり、高速回転部分ということもあり、粘度の低いタイプよりは、ある程度耐熱性のあるモノの方が適してるだろう。
ベビーチョコ部分も大事だが、これ自体が回転するので、金属部と擦れる部分辺りに塗布するのがコツだ。
金属部には薄く塗る。
最後はメンテルーブ。
全体的にメンテルーブをすると初期動きが良くなるだろう。
一体化させてから組み付けるのがコツだ。
さて、これでセルを回してるみると、明らかに先程までの、
キュル~キュル~キュル~キュル~ が、キュキュキュキュキュキュキュ! と音色が変わった。
と同時に、一発エンジン始動です。
感覚的には、キュ!ブルン! ってな感じになった。
これで、女性ユーザーでもあったとしても、満足の修理になるだろう。
走行距離が8000km程度なので、放置と湿気、グリスの劣化などにより、セルの伝達回転が鈍くなり、エンジン始動に至らなかった というのが要因だろう。
なにが起こるかわからないのが、機械もんの宿命だ。
では。
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