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【マニュアル】燃料噴射せん!タンク腐り&燃料ポンプ故障のズーマー(インジェクション型)のタンク廻りを診断・脱着
ただいま入庫中のズーマーですが、エンジン不動で放置してしまったとの案件です。
まず放置してしまった場合に確認しなければならないのは、ガソリンタンクです。
タンク内がサビくれていないか、どーかの確認です。
もちろん、ガソリンが腐ってしまえば、エンジンは掛かりませんので、腐っていなくても、古いガソリンを抜き、新たなガソリンに交換しなくてはなりません。
とは言え、今回入稿したのは、F.I.型のズーマー。
年式もそこそこ新し目なので、タンク腐りまでは想定しておりませんでしたが、工場で開けてみてびっくりです。
ダメやん!
そう、もうダメなんです。
昔、中古車仕上げをやっていた頃は、タンク腐りの溶解剤などを使ったのですが、あんなん、キレイになるのはそん時だけで、その後、ずーっと調子悪く乗らなければならないんです。
一度、サビた鉄は元に戻らない と考えた方がイイです。
そもそも、ガソリンタンク内には、特殊なメッキが施されています。
サビるということは、このメッキが剥がれたわけで、その時点で終わりなんです。
たまに、安く収めたいので花咲かGを使って欲しい などと言われるんですが、我々プロが修理でお金を貰う以上、交換しか方法はなくて、そんな一時的な修理法は許されないんですよね~
ま、そんな方法で安く直したとしても、それが原因であとで不具合が出れば、文句言うんですよ、そんな人間は、わかってるんです。
それはおいといて、そんな腐ったガソリンタンクで起こる、噴射しないインジェクションの検証と、燃料ポンプ交換法をやってみたいと思います。
ズーマーは、2タイプあります。
型式は一緒ですが、キャブレタータイプの前期型 はガソリンタンク自体のパーツ型番がまったく違いますので、今回は インジェクションタイプの後期型に限定した作業法となります。
パーツリストを見てみましょう。
燃料ポンプは、16710-GGA-305 ポンプユニット、フューエル とあります。
新車時点の価格ですが、高いですねー
18,600円ですから、今だと、1.5倍ぐらいにはなっている可能性ありますね。
メーカーパーツは年々値上がりしますので。
注意したいのは、ポンプじゃなく、フューエルホース(インジェクションノズル)が原因の場合も多々あるので、慎重に診断したいところです。
まず、前回まで作業で、ステップボードまでは外れていると思うので、もし、外装が外れていない場合は、過去記事を参考に、外し込んでください。
これがF.I.型のガソリンタンク全貌です。
ステップボードを外した時点で、全部共締めなので、フレームに対してなにも留まっていませんので、このまま離脱することも出来ます。
まず、キャップ自体が腐っています。
なぜこうなるかというと、ガソリンは揮発するのが特徴なのですが、その時に熱を奪います。
その時に外気温との差で出る結露がガソリン内に溜まってしまい、スチールを腐らせるわけです。
底もダメそーです。
そもそも、タンクは腐っているのですが、燃料噴射はどーなってるのか? 検証する必要性があります。
ここから、かなり危険な作業に入ります。
ちゃんと手順を守らないと死にますよ、マジで。
まず、インジェクションノズルが装着される8mmネジを2本外します。
ネジ形状です。
燃料噴射するノズルが、エンジンシリンダーに装着されているので、これを離脱させます。
正常であれば、ここから燃料と空気を混ぜた混合気を細かい霧状にして噴射しているのが正解。
この噴射ノズル表面は、真っ平らです。
ここに細かい穴が空いており、放置してしまった場合は、腐ったガソリンがネトネトして、穴を塞いでしまってることがあるんです。
まず、このノズル先端部をインジェクションクリーナーを使って清掃します。
この掃除の方法は、メーカーでは推奨されていません。
ですが、掃除せざるを得ないので、綿棒に溶剤を浸し、優しく掃除をするようにしましょう。
ゴシゴシやると余計穴が詰まる可能性がありますんで、こすらないで、拭う感じです。
そして、ココが重要です。
必ず、プラグキャップを点火プラグから外します。
つまり、エンジン内部で爆発が起きないようにします。
もし、エンジン内部にちょっとでもガソリンが残っていた場合、爆発がバックファイヤーして、炎が、先ほど外したノズルの穴から吹き出します。
どこに引火して大火災になるかわかりませんので、これは絶対に忘れないよーに。
そして、エンジンをONにして、セルを回します。
ちょっと白いウェスだとわかりずらかったのですが、まったく噴射していないのが確認できました。
黒いモノの方が噴射しているかどーかわかると思います。これは反省。
この時点で噴射していないということは、燃料ポンプが故障していると考えられます。
一度分解して目視で確認してみましょう。
燃料ポンプはこの7本の10mmナットを外すことでタンクから離脱できます。
うわちゃー!
こりゃ一目瞭然でダメだ。
ねとねとになったガソリンがへばりついていて漬物になっちゃってますね。
タンクの底部にも、ねとねとがへばりついています。
マイナスドライバーでこそいでみましょう。
ミキプルーンになってます。
なんの栄養もないので、このガソリンタンクは廃棄ですね。
念のためポンプをキレイなガソリンに沈めて、吸い込むか配線したまま、キーをONにして試してみましたが・・・泡もなんも出てきませんでした。
※こうしたガソリンを使う作業は良い子は絶対にマネしないように。
これはユニット交換になっちゃうので、これ以上分解しても仕方ありませんので、こちらの燃料ポンプも廃棄です。
腐ったガソリンタンクは、なにもかもゴミと化しますね。
その後、パーツ屋から取り寄せた、中古良品のガソリンタンクと燃料ポンプ、燃料噴射ノズルに交換しました。
中古でも、ざっとパーツ代で1.5万円は掛かりました。
交換後の燃料噴射具合です。
しっかりと、シュパシュパと出ておりました。
同じく白いキッチンペーパーなんでわかりずらかったですね。反省。
今回の作業、ユーザーがやろうとすると、かなりヘビーです。
バイクメンテナンスの経験が無い方は、絶対にやらないでくださいね。
特に、燃料噴射を確認する場合は、火事を起こさないように、十分留意しましょう。
火事にならないまでも火傷する可能性があるので、絶対に舐めないで頂きたい。
消化器や燃えやすいナイロン生地の洋服などでは絶対にやらないよー注意しましょう。
ではでは。
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