先日、入庫した絶版車のスズキ・セピア初期型(CA1EA)なんですが、ベルト交換をしなくはならない修理がありましたので、今回イイ機会なのでご紹介いたします。
駆動系バラしのレクチャーは、このテクニカルブログでも人気ではあるのですが、やはり専用工具が無くて断念されるDIYユーザーが多くおられるようです。
プーリープーラーやらクラッチホールドやら・・・でも、そんなにぜんぜん要らないんです。
欲しい工具は一択。
18V以上のインパクトドライバーです。
マキタやHIKOKI、BOSCHやらRYOBIやら、一度は聞いたことのある電動工具メーカー名のモノです。
価格は2~5万円と幅広いですが、ビットと呼ばれる先端工具のアタッチメントを変更するだけで、ドライバーにもレンチにもなるので、手動工具をいちいち集めて行かなくてもプロ以上にメンテナンスができるようになります。
駆動系メンテナンスには、このインパクトドライバーが必須です。
もう、うじうじ考えず、買っちゃって下さい。
ガッチャは、手動工具不要説です。
使いこなせばわざわざトルクレンチなんて買わなくても、いつも同じトルクで適切に締めることができるのも、腕力に頼る手動工具にはマネのできない部分です。
ガッチャからのオススメは、HIKOKIの18V・36Vかマキタの40Vです。





進める上で、セピアのグレードなどを解説しますと、今回の駆動系分解法に関しては、オールグレード対応です。
スタンダードセピアのCA1EA、セピアZZのCA1EB、中期型のCA1EC、後期型のCA1HAと、RSグレードのCA1HB、後期型のZZはCA1HBとすべて同じ手法で大丈夫だ。
画像点数が多いでの早速取り掛かろう。

クランクケースカバーを外します。
脇から見て#3プラスネジを7本外します。
キック部のセンターネジに関しては曲がっている可能性もあるので気をつけて外そう。

プラスチックハンマーで少しアクションを与えて外します。
ガスケットがわりと張り付いていると思うので。

ちょうどキックレバーを持ちながら外すとやりやすいだろう。

クラッチがデカいですよね。
まずはプーリー側アウターから外して行こう。

この機構ですが、Cクリップを外すべく、クランク側にスプリングを縮めるように押し付けるのがコツ。

ペンチやニッパーで掴んで外すのがやりやすいだろう。

Cクリップを外したとしても、そうそうびよーん!って飛んで行くような強いスプリングでは無いので安心だ。

スプリングとワッシャーアングルを外す。

次に、キックギアを外す。

キックギアの受けアングルを外す。

奥まった部分に留まるのが、17mmナット。
プーリーとアウタードリブンを留めるナットである。


クランクギアを外す。
これはクランクシャフトのスプライン(縦筋)に沿って取り付けてあるので、装着の際には気をつけよう。
これにはクランクナットのワッシャーも伴っているので、忘れないように。

これでドリブンフェイスが外れました。
こちらも、クランクギアと同様、スプラインに沿ってハマっている。

この段階でクラッチ側を分解する。
14mmナットを反時計回りで緩め外す。

クラッチアウターを外す。
外れにくい場合は、少しプラハンでアクションを起こして外すのもイイだろう。

この時点でベルト+クラッチユニットごと、クランクケースから離脱させる。





ただいまこんな状態だ。

あとはプーリーとボスを同時に外す。


セルのクランクギアを外す。
このギアが減っているとセルが「うーん、うーん」と滑るような状態になる。

外したついでに、セルのピニオンギアの減り具合も見ておこう。
目視できるのだが、この個体はぜんぜん大丈夫で、ギア部の角も立っているようだから、セルギアが滑るようなことは無いだろう。

完全に外れましたね。
パーツごとに分解はしなかったのですが、外から見て、概ね良好でした。
走行距離が1万km以内ということもあるので、経たりは少ないようだ。
外したついでに、クランクケース内をキレイに掃除して、注油するべきところはグリスアップし、あとは適切なトルクで締め付けながら組み付ければOKだ。
インパクトドライバーを使う場合は、締め付け具合を調整しないと、そのパワーからネジ切っちゃうちょんぼもあるので、特に工具の使いこなしには注意したい。
ただ、使いこなすこと自体がおもしろいコトでもあるので、ぜひとも挑戦して頂きたい。
ではでは。




