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【マニュアル】キック戻り改善!アドレスV100後期型のクランクケースの外し方とキック廻りメンテ法
さて、今回はメンテナンスマニュアルです。
入庫して、たまたまキック戻りが悪かったV100がありましたので、ついでにマニュアルを作ってみました。
V100にとっては、キック戻りが悪くなる個体は珍しい部類に入ります。
というか、キック戻りに起因するのは、駆動系に問題はある場合は少なく、エンジン躯体に原因がある場合が多いのですが、すでにエンジンは起動している状態であれば、安心して駆動系として処理できます。
ただし、このV100のクランクケースを開けるマニュアルですが、前期型のCE11Aと、後期型のCE13Aではまるでやり方が違うので注意です。
後期型は黒い樹脂カバーが被ってるんです。
スタイリッシュにしたかったのか、意味の無い樹脂カバーを付けちゃいました、スズキ。
大事な開発製造予算を、もっとユーザーのほんとーに役立つ装備に使ってほしいもんです。
キック、スカっと戻りませんねー
キモチ悪いですよね、この現象。
そもそも、セルでエンジンかければイイでしょー という問題ではなく、機能が機能してない状態は改善させたいと思いますよね。
では、このキック戻りを改善してみましょー!
まずは、クランクケースカバーを外します。
なんで、キックレバーを外さないとならなくなった?
マイナーチェンジして不便にしてるんだから、参っちゃいますよね。
キック根元の下部を見ると、12mmボルトがありますので、これを反時計回りに緩め外します。
この画像のような板ラチェットを使用すると便利ですよ。
反対目線になるんで、上から見ると左に回すことで緩みますんで。
ボルトが取れたら、キックレバーを手前に引っ張ります。
これ、固くて取れない場合でも切込みを広げてはイケませんよ。
よくマイナスドライバーで広げるユーザーが居るのですが、NG作業です。
広がるとスプラインが合わなくなるので、とにかく引っ張って取り外すのが正解です。
キックレバーが取れると、やっと樹脂カバーを外せます。
真横から見て、4本の#3プラスネジを外します。
全部同じ長さなので、特に分けなくても大丈夫です。
次に、このわけのわからんホースを外します。
駆動系パーツに羽が付いてて、中で空気が動くようになってるんですが、その空気を排気させるホースなんです。
熱を下げる効果と、ベルトカスを外に逃がす効果があります。
かつ、雨水が入らないようする必要性があるので、こうしたゴムホースが上に伸ばしているわけなんですが、クランクケースを外す際は、ひと手間です。
ペンチでバンドを広げると引っこ抜けますんで。
ホースが取れたら、樹脂カバーが外れます。
引っ張るだけです。
樹脂カバーが取れたら、本体のクランクケースを外します。
ここまでで疲れちゃいますね。
結局、3本の#3プラスネジで留まってるように見えますが、実は、先ほど外した樹脂カバーが共締めになっている構造なんです。
なので、実際は、7本のネジで留まっているんですね。
ネジが外れたら、プラスチックハンマーで引っ叩いてアクションを起こします。
パッキンがくっついているんです。
引っ張りながら叩きながら、ゆらゆらとアクションを起こして、ちょっとずつ外します。
はい外れましたー。
ここまで来ると、初期型も後期型も同じです。
今回は、キック戻りを修理するので、前方のプーリー側を少々バラします。
3本の#2プラスビスを外します。
キッククランクを留めるカバーを取り外します。
まずは、キッククランクカバーが外れます。
次にバネ。
次にワッシャー。
これがキッククランクギア。
この動きが悪くなっているのが原因です。
クランクナットにギアが切ってあるのが確認できますかね?
これが、キッククランクギアと噛み合うことでクランクを回します。
この戻りが悪くなっているとキック戻りに影響するわけです。
今回の部位の潤滑は、ある程度浸透させたいことと同時に保持してほしいので、メンテウルーブを使います。
ちょうどよい粘度で、グリス効果も期待できます。
この部分に塗布し、キッククランクギアを仮止めして、動きを確認。
少し馴染ませたら、組み付けて完了です。
キックの戻りが劇的に変わる時もありますので、お試しあれ。
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