この商売をやってると、ダメ処分バイクが溜まります。
ほっとんどがクランクベアリングがやられているゴーゴーをうるさいエンジン音の原付バイクです。
ガッチャは修理の際に代車はお出ししていません。
ですが、長年やってると常連さんが増えて来て、そーも言ってられない状況になって来てしまっています。
そこで、溜まったダメ処分バイクを時間を見て復活させて、代車にでもしよーかと思っています。
そこそこキレイな外装ということもあり、今回はレッツⅡ(CA1PA)のエンジンオーバーホールをやって代車化しよーかと考えています。

ま、今回の記事、特にマニュアル化はしていませんので、ダラっと流し見して頂ければと思っています。
正直、エンジンオーバーホールのマニュアル化は、画像点数も多く、解説レクチャーが多くて作りにくいってのはあります。
詳しいことが知りたいユーザーもおられるでしょうが、ま、そこは正式なメーカーマニュアルでも見ながらゆっくり進めて下さい。
我々修理屋のオーバーホールは、2、3手先のことをやりながら進めて行くので、見ていてちんぷんかんぷん的なところもあるので。
あ、まずは、この代車にしよーとしているレッツⅡですが、今、どんな状態か!?っちゅーと、ひどいもんです。
エンジンかけると、ゴー!ゴロゴロ!ウォーン!ウォーン!ってな感じです。
文字にすると面倒なので、動画で聴いてみて。
うっさいでしょー?
でも、意外とユーザーはこの轟音に気づかずに乗っているんですよね。
人のバイクと比べて明らかにうるさいと思う場合は、一度ご相談頂いたほうがイイかもね。
では、早速、作業開始。
まず、エンジン外して、車体を吊ります。

これも、工場じゃないとなかなかできることでは無いですよね。
なにせ腰が痛いんで、出張案件以外は、地面で仕事はやりません。
全部、台の上でやりたいんです、おっちゃんは。w
画像では、もうすでにエンジンが車体から外れていますね。

シリンダーカバーやら、イグニッションやら、外して行きます。

ダイナモ部分です。
特殊工具が必要なんですが、引っ叩けば取れる場合もありますよね。
これマグネットになってるので、細かいネジやらくっつけておくと無くさないですよ。

シリンダーやら、タイヤから、駆動系からひととおり外したので、あとはカチ割り作業です。
クランクリムーバーとでも言うのかな?そんなような専用工具を使います。
クランクシャフトを軸として、ケースをネジの力で引き抜く工具です。
分解時には、ほんとーになんの注意点もないですね。
ただ、まっすぐなモノは、まっすぐなまま、分解を心がけましょう。

粉砕まではしていませんでした。
これがベアリング左右です。
シャフトの両側に付いてくるか?ケースに残ったままで外れるか?は、運次第です。
ケースに残ったら、きみは運がイイぞ!w
あ、たまにベアリングの着脱時に加熱したりする人が居ますが、不要です。
ベアリングのボール部に良くないので、絶対に常温でやりましょう。

台湾製のシリンダーピストンキットがあったので、試してみます。
5~6千円で手に入りましたが、どーなんでしょうね。
バリもそんなにあるわけじゃなく、わりとモノはイイように思います。

ガスケットやピストンリング、ピストンピンまで入ってて、この価格、この品質だと、かなりイイですね。
ただ、ピストンとシリンダーのクリアランスがキツい感じがします。
ピストンを入れる時に純正はこんなにキツかったかなー って思いました。
ま、どっちみち、純正でもスズキのシリンダーピストンはひどい品質ですし、むしろこの台湾製のほうがイイぐらいですし、出力すれば御の字でしょう。

今回交換したパーツ類。
オイルシールは代車なので、再利用しました。
よく見るとわかりますが、ピストンはスゴイ傷でしょ?
さっきの始動性具合でも、こんなピストンですし、いつ止まったっておかしくない状態ですよ。
この個体、走行距離15000kmですよ?
怖い品質ですよ、スズキ。
この個体に限ったことではなく、オーバーホールするスズキ車は、ほぼほぼピストンに傷が入っています。
修理に携わるモノ、スズキは買わない という所以です。
それでは、最後に、修理後のエンジン音を聴いてみましょーね。
キレイなエンジン音になりましたね。
ただ、なにせ台湾製のシリンダーピストンキットですから、しっかりと慣らし運転は必要です。
いきなしフル加速、最高速巡航なんてしたら、再度焼き付きますんで。
まずは、オイル交換して、ヤマハ純正オイルを使うのがコツです。
これで代車が一台できました。
常連さんには不便をおかけしないで済みますね。
ではでは。










